
船外機改造艇(カスタム艇)のメリットとデメリット
船外機改造艇とは??
船内外機船(ドライブ船)のエンジンを降ろし、船体(モータウェル)をカット又はパワーブラケットを取り付けてエンジンを船外機に載せ替えたプレジャーボートです。
船外機改造艇の船体カットとブラケット取付の比較


今回はブラケットを取り付けての改造艇に焦点を当てていきます。
船外機改造艇のメリット
① 直進航行時の走行安定性の向上
ブラケットを取り付けるタイプの船外機改造艇は船体の水線長を伸ばすことで直進航行での安定性が向上します。ブラケットを取り付けることで実寸全長は約2ft延びることになります。(23ft船外機改造艇の場合、約25ftの実寸全長)

② 作業作業スペースの延長
船外機改造艇のブラケットは船外機を支えられる程の高い耐久性があります。よってブラケット上でも釣りや作業を行うことができます。

③ 低い回転数でスピードを出すことができる
通常の船外機、ドライブ船は船体が立てた引き波の一番深い位置で水を掻きます。それに比べて改造艇は引き波の立ち上がりを掻くため少ない抵抗でスピードを出すことができます。


④ 収納スペースの拡大
船内外機の旧エンジンルームは大型の収納可能なスペースとなるため、荷物だけではなくフューエルサブタンクや発電機の格納など様々な用途での使用が可能となります。



⑤ エンジン整備の簡易化
ディーゼルエンジンに比べ、船外機は消耗品の交換が簡易に行うことができます。さらに消耗品の交換費用が安価で維持費を抑えたい方にはおすすめです。エンジンの故障でやむを得ずエンジン全てを交換する場合でも、ディーゼルエンジンより簡易に行うことができます。
船外機改造艇のデメリット
① スラッジによるスラッジによるフューエルパイプのつまり
フューエルタンクには元々軽油(ディーゼル)が入っていたため、ガソリンを入れることでスラッジ(ディーゼルかす)がタンク内壁面から剥がれ落ちパイプのつまりを引き起こす可能性があります。船外機換装時にフューエルタンクを洗うことである程度のスラッジを取り除くことはできますが、タンク内の隔壁等が原因で完全には取り除くことができません。

改善ポイント
一次フューエルフィルタを定期的に確認するようにしてください。スラッジが付着していれば綿棒などで取り除いてください。数回で症状はなくなります。

② キャビテーションの可能性
高速航行時の急旋回や強く潮が立っている中では、水面からプロペラが出てしまい空転(キャビテーション)を起こす可能性があります。
改善ポイント
キャビテーションが気になる方はスタビライザーの延長やプロペラの交換をご検討ください。スタビライザーは下図のように延長させることでプロペラがより多くの水を捕まえることができるようになります。

スタビライザー延長前後の比較


プロペラの変更は最大回転数や最高速度から調整を行う必要があるため、専門業者に依頼することをお勧めします。※本来は販売店で調整を行い通常航行時、旋回時にキャビテーションを起こしにくいように調整されてあります。
③ 船尾側の軽量化
船外機改造艇はスタンドライブ艇を船外機に換装しているため船尾側の重量が換装前より軽くなってしまいます。船尾側が100~150kg程度軽くなることで流し釣りやどてら流し釣りを行う際に船尾側から流れてしまうことがあります。



YANMER 4JH3-DTZAY 105馬力 291kg
改善ポイント
40~80kgのバラストを搭載してください。発電機やフューエルサブタンクを旧エンジンルームに入れることで船尾側の重量増加で症状を改善することができます。
ここまで船外機改造艇のメリット・デメリットについてお話してきましたが、船外機改造艇の1番のメリットは「船体が船内外機のみの型式でも船外機とし乗ることができる」ことです。年式の古い船のエンジンが故障した際に部品の供給が終了している場合があります。そこで新しい船外機に載せ替えることで船体はそのままで乗り続けることができるのです。